BCP策定時についつい見落としてしまう項目、論点について③~重要業務の選定 定量的比較~
*静岡県BCPモデルプラン『3.01 重要業務を決める』では現状の事業・業務の現状分析、状況を確認するためのもので、ここで業務停止による影響などを検討するツールではありません。しかし敢えてこのツールの使用について枠を広げてみようというのが今回の試みになります。
BCPモデルプランでは重要業務の選定について検討する際に定量的に比較することでわかりやすく判断できるようにします。定量的(数値化)することで見えてくることもありますが、まずは定量的に判断する際の『定義』をしっかりと決めておく必要があります。
ただ定量的に比較し判断するための『定義』を重要業務の選定に参加する全員がその定義を共有することから始めなければ、意見がうまく集約できません。
利益への影響や売上への影響については実際の数値で比較することは可能です。全体の売上から取引先A社の売上がどの程度なのか、実際の売上高がいくらなのかを参照すればいいのですが、得意先との関係や社会的影響・批判という点についてはそれぞれ数値化できるものもあれば、数値以上の価値がある(利害関係者の要求等)ものもあります。これらを『定量的』に判断するためには重要業務を判断する全員に『定義』を共有しなければなりません。
例えば『得意先との関係』においてA社から委託生産を請け負っている製品はこれまで長年付き合いのある製品であるが、利益率も悪く、社会的なニーズも少なくなり、年々生産量も落ちているとします。
新しい取引先のB社も委託生産を請け負っており、売上は年々増え、利益率もよく、社会的なニーズが大きくなることが予測されており、今後その生産量は増えていくと思われます。
この2社との『取引先との関係』を『定量的』に判断するためにはどのような『定義』をするのがよいでしょうか。
売上と利益(率)、社会的影響は除いて考えると
1.取引年数の長さ
2.取引における信頼
3.製品が取引先に与える影響
4.製品の将来性
といったことが挙げられると思います。*ほかにも判断する材料はあると思います。
次に
①どの項目で比較判断するのか、すべての項目を比較して判断するのか、
②5段階評価で判定するにしてもその5段階評価項目はどのように決めるのか、
を決める必要があります。
①についてはこれら4つの項目で最も重要だと思われる項目だけで検討するのもよいですし、全体を比較してもいいと思います。
②については例として『重要である…5』『比較的重要…4』『どちららでもない…3』『比較的重要ではない…2』『重要ではない…1』といった決め方もあるかと思います。
5段階評価を行うにしても5つの評価項目をどのようにするかもそれぞれの判断要因別に検討することが必要となります。
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