BCP策定時についつい見落としてしまう項目、論点について⑦~BCMの基本方針~
静岡県BCPモデルプラン【様式1】BCMの基本方針ではBCMへ取り組む方針を決めることとなっています。解説にもある様に基本方針を決めるために3つの視点から検討する必要がありますが、このツールの使用について考えたかの枠を広げてみようというのが今回の試みになります。
今回なぜBCM(事業継続マネジメント)に会社として取り組むこととしたのか(目的)、取り組むことでどういった成果や期待される効果を目指すのか(目標)を決める必要があります。
そしてその目的や目標は会社の基本理念や経営者の想い、ビジョン・ミッション・バリュー、事業計画といった会社方針に沿った考えを反映させたものでなければ整合性が取れません。そこでまずは会社の基本理念等から見ていきましょう。
例えば弊社STFのビジョンとミッションは以下の通りです。
■STFのビジョン
・永続的な企業の発展に貢献するためSTFを組織化、あらゆるコンテンツを用意し、
本事業を拡大・普及させる。
・危機管理コンサルティング活動を収益性のある事業として確立させる。
■STFのミッション
・STFはBCMS(事業継続マネジメントシステム)を多くの企業に普及し、災害時の被害を最小化
する支援を行う。また活動の社会的意義を認識し、賛同する個人・企業への貢献を行う。
・STFはBCMSを通じて災害時における企業のリスク低減・予防、事業継続活動を支援し、
地域社会の経済の安定に寄与し、この活動を通じて日本国の国土強靭化を実現する。
・危機管理コンサルティングの必要性を周知し、企業活動においてその取り組みの価値と業務活動の
必要性を認識させるとともにBCMSの地位を確立させる。
上記のビジョン・ミッションを踏まえてBCMの基本方針について考えます。
BCMの基本方針としてなぜ(目的)、何を(目標)をするためなのかをビジョンとミッションに
照らし合わせて検討すると
BCMに取り組む目的:STFのサービスである危機管理コンサルティング事業を継続的に
提供するため(なぜ取り組むのか)
BCMに取り組む目標:STFのサービスである企業支援活動を早期に再開し、災害復興時に
クライアント企業を含めた地域経済の支援を行う(成果や期待される効果)
となり、これらのことを踏まえて『それでは基本方針を決めましょう』となります。
そこで【様式1】にある3つの視点から弊社STFの基本方針を検討すると以下のようになります。
ア)従業員・家族や来客の安全と安心を守る
弊社は個人事業ですので私自身の身の安全を確保すること、従業員はいませんが(将来
エージェントを雇い入れ、BCMSの普及をしていくことを含めて考える)家族がいますので
家族が安全で安心できる環境を確保する必要があります。
そこで『STFの事業である危機管理コンサルティングサービスの提供に関わる人員の
生活環境を含めて安全・安心を確保する』とします。このことから目的であるサービスの
継続的な提供が可能な状態を目指し、事業の早期再開を行えるようにします。
イ)顧客・従業員のために事業の継続・早期復旧に努める
弊社のクライアントになられる企業や組織が事業を早期復旧し、取引先や従業員といった
利害関係者との関係を良好に保つために支援を行うことが必要となります。そのことで地域経済
への貢献や日本国の国土強靭化へ寄与することとなると考えていますので、
『クライアント企業の事業の継続・早期復旧を支援するためにあらゆる事前準備を行い、
支援サービスの提供を実施する』とします。
ウ)社会的責任・地域貢献を果たす
弊社が果たすべき社会的責任・地域貢献としてはミッションに通じるところがありますので
『弊社は危機管理コンサルティング事業を通じて事業継続の重要性を普及し、
活動の社会的意義を認識してもらう活動を行います。そのためにクライアント企業に
ご協力をいただき、取り組みについての発信を行い、地域貢献を果たしていきます。』
とします。
BCMの基本方針の決定について参考になりましたでしょうか?
皆様の基本理念やビジョン・ミッションに合わせたBCMの基本方針をしっかりと作り上げてから取り組みを進めてください。
Comments