BCP策定時についつい見落としてしまう項目、論点について⑧~BCMの実施体制~
静岡県BCPモデルプラン【様式2】BCMの実施体制ではBCMに取り組むためのチーム構築になります。解説にもある様に担当者任せではなく経営者が積極的に関与することが重要になります。また全社挙げて取り組むために当チームの位置付けは大事になります。ここではこのツールの使用についての考え方を考察してみましょう。
作業手順にありますが①全社的な参画を前提とすること②計画策定後、運用段階でも機能させることとあります。
私のHPのホーム画面にもありますが、BCMSチームを構築していくのは非常に難しいです。これは実際に支援を行っているコンサルタントとして実感していることです。
これまで携わってきた支援現場ではBCP策定に多くの人員をかけられないといった声から、社長もしくは総務担当者とともに策定することが多くありました。これは事業規模や策定する経緯などにも関係してきますので致し方ないと思います。ただ担当者としては『社長の指示通りBCPを策定すればいいんでしょ』という考えやBCP策定によるインセンティブが目的だったりします。ただ経営者からすればモデルプランを作ったからといって災害発生後、BCPがあってもすぐに事業が再開できるなんて思っていないことでしょう。
本格的にBCPを策定しているクライアント企業ではBCMSチームに各部署の責任者を入れて研修を
行い、実際に演習や訓練なども行ってきました。BCPを業務の一環として取り入れ、BCPに関わる取り組みを通じて人材育成や業務改善にもつなげています。BCPに取り組むことの意義は目的であるインシデント発生後の事業継続以外にも平時の業務改善の効果があることです。
それではどのようにBCMSチームを構築していけばよいでしょうか?
それは
・BCP策定の第一段階
・策定したBCPを使用して管理職向けに演習・訓練を行う第二段階
・全社員に取り組みの周知と演習・訓練の実施を行う第三段階
に分けてチームメンバーを増やしていくやり方が良いと思います。
第一段階から各部署の管理者が参加して策定を行うには平時の業務への負担も大きく、また部署間での利害関係もあって上手く策定を進めることができません。
第一段階ではまず社内の状況をよく理解している方、俯瞰して業務を見ることができる立場の方を
中心として進めていくことがよいと思います。その際、必ず事務方として文書策定などを含め対応
する方も必要です。
第二段階では各部署の管理職を入れて文書内容の確認、ウォークスルーを実施し、不足している文書や情報や活動内容の修正等を行っていきます。また災害発生時の活動内容についてシミュレーションやロールプレイングを実施し、各部署の管理職がBCPにおける活動を理解してもらうことになります。
またこの管理職のメンバーが実際にBCMSチームのメンバーとなることで計画策定後の運用も行って
いきます。
第三段階でようやく各部署の管理職を中心としてそれぞれの部署内でBCPを周知させ、全社的な
取り組みへと発展させていきます。
全社的な取り組みとしてすでに防災訓練を行っている企業も多いかと思いますが、それは生命・財産の安全確保を行う初動対応であって、事業継続として優先業務を早期に再開するための活動の前段階であることから、その違いを理解する必要があります。
最後にBCMSチームを構築するうえで重要なこととして、チーム内の人間関係やメンバーの人格、
姿勢、普段の発言なども含めて人選を行わなければなりません。何事もそうですが、後ろ向きな発言やメンバー間の関係性を乱す方は入れないことが重要です。特に取り組みを阻害する方は早めに退場させた方がよろしいですが、支援させていただいている時にその阻害する人物が実は経営者であったり、BCP策定担当者であったこともありました。
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