BCP策定時についつい見落としてしまう項目、論点について23~重要業務の継続に必要な要素・資源と再調達困難度~
静岡県BCPモデルプラン【様式5】重要業務の継続に必要な要素・資源と再調達困難度では業務の流れ(フロー 工程)で使用される経営資源について確認を行い、その経営資源が事業継続に与える影響と再調達の難しさについて検証を行います。ここで検証を行う『事業継続への影響度合い』についてどのように解釈して使用すればよいかを考察しましょう。今回も『外部資源』が与える『重要業務への影響度合い』について考察していきたいと思います。
『外部資源』
今回も経営資源の『外部資源』について考察したいと思います。
外部資源について解説しますと、自社以外の利害関係者として以下の関係先が挙げられます。
・市場、顧客、製造・サービス提供先
・仕入れ先(原材料・事業・業務に必要な資機材等)
・保守・メンテナンス(事業環境・業務用設備・機器等、産廃事業者)
・支援事業者(士業・支援機関等)
・金融機関(銀行・保険代理店等)
・行政(国・自治体)
・地域社会(住民、マスコミ)
・インフラ事業者
これらの『外部資源』の状況によっては事業の継続に大きく影響を及ぼすことから『重要業務への影響度合い』を検討することになります。それではどのような影響があるかを考察します。
仕入れ先(原材料・事業・業務に必要な資機材等)…
事業を行う上で必要な原材料や資機材を調達することになります。
ここでは調達に対する信頼性や価格という基準で判断することができます。仕入れ先からの供給が低下することで取引先やエンドユーザー(最終消費者)への製造・サービスへの提供が低下し、信頼や魅力、必要性等の低下を招く事態となります。そのため仕入先からの供給スピードや原材料やサービスの品質維持・向上、価格の適正化といった改善が必要です。災害後にこれら仕入先が被災することで供給が停止した場合を想定して、どのような対応を取ることが可能かが問われますが、社内在庫や代替供給先を検討することで対応することを通常は考えることとなります。
しかし南海トラフ地震などの大規模災害であれば、他社も同様の考え方をすることから、仕入については『早い者勝ち』となります。自社製品やサービスが代替での確保がどの程度可能なものなのか、希少性の高い原材料等を使用していないか、供給ルートの確実性も判断基準とする必要があります。
そこでこの仕入先に関する『重要業務への影響度合い』としての判断基準をまとめると
①これまでの取引実績
・通常取引での対応
・仕入先がこちらの需要を理解している
②供給の確実性
・仕入先がBCPの策定を行い、防災・減災活動にも取り組んでいる
・仕入れ先も複数の供給ルートを確保している
・通常、在庫を多く保有しているなど)
③価格的優位性
・他社と比較して仕入原価を考慮した取引をしてくれている
④原材料やサービスの希少性
・原材料やサービスの希少性が高いことから平時でも入手しにくい
⑤対応スピード
・平時での供給スピード
・物理的距離
⑥供給品・サービスの品質
・平時での品質維持・向上の状況
を検討することが必要と思われます。
Comments