BCP策定時についつい見落としてしまう項目、論点について26~重要業務の継続に必要な要素・資源と再調達困難度~
静岡県BCPモデルプラン【様式5】重要業務の継続に必要な要素・資源と再調達困難度では業務の流れ(フロー 工程)で使用される経営資源について確認を行い、その経営資源が事業継続に与える影響と再調達の難しさについて検証を行います。ここで検証を行う『事業継続への影響度合い』についてどのように解釈して使用すればよいかを考察しましょう。今回も『外部資源』が与える『重要業務への影響度合い』について考察していきたいと思います。
『外部資源』
今回も経営資源の『外部資源』について考察したいと思います。
外部資源について解説しますと、自社以外の利害関係者として以下の関係先が挙げられます。
・市場、顧客、製造・サービス提供先
・仕入れ先(原材料・事業・業務に必要な資機材等)
・保守・メンテナンス(事業環境・業務用設備・機器等、産廃事業者)
・支援事業者(士業・支援機関等)
・金融機関(銀行・保険代理店等)
・行政(国・自治体)
・地域社会(住民、マスコミ)
・インフラ事業者
これらの『外部資源』の状況によっては事業の継続に大きく影響を及ぼすことから『重要業務への影響度合い』を検討することになります。それではどのような影響があるかを考察します。
・行政(国・自治体)…
事業を行う上でほとんどの業種・業態で行政からの許可、免許、認証、資格などを付与されていると思われます。法人であれば法人登記や税務署での納税などもありますし、また行政の仕事を委託で行っている企業であれば認可等が必要となります。建設業などであれば建設業者としての認可や公共工事の入札で入札資格などもありますので、行政が与える事業への影響は非常に大きいものになります。
・地域社会(住民、マスコミ)…
事業を行う所在地との関係は、その事業者に対して周辺住民の理解が必要であり、関係を良好にすることが重要です。例えば地域の地主から用地を借りている場合など、関係性が悪くなってしまうと最悪、立ち退きを迫られる可能性もあります。また事業活動で発生する騒音や振動などもクレームの対象となり、役所からの指導に発展することもあります。さらに会社の評判などによってはマスコミなどの標的となり、企業のブランドイメージが低下、取引先への影響も考えられます。このことから地域社会(住民・マスコミ)が与える影響も大きなものであることは間違いありません。
・インフラ事業者…
会社が事業活動を行うにあたって、電気、上下水道、ガス、道路などのインフラは欠かせません。会社が安定的に事業活動を行うことができているのもインフラが安定して供給されているからに他なりません。事業への影響は直接的であり、また生活を行う上でもなくてはならないものであることから、インフラの復旧自体が事業活動の生命線になり、その影響は絶大です。
それでは上記3項目についての『重要業務への影響度合い』について判断基準をまとめるとこのような判断基準になります。
・行政(国・自治体)
①行政との関わり
②許認可、免許・資格、委託事業等の有無
③許認可、免許・資格、委託事業等の取り消しによる影響
・地域社会(住民・マスコミ)
①事業活動への理解
②地域社会への貢献
③地域社会とのかかわり・関係性
④事業活動(製品・サービス)が風評被害などに影響されやすいか
⑤コーポレートイメージやブランドイメージが及ぼす社会的影響及び取引先への影響
・インフラ事業者
①事業活動に関係するインフラの重要度
②長期の供給停止による影響
といったことが挙げられます。これらを定量的比較で数値化しやすい項目と定性的な判断を伴う項目に分けられると思われます。こういった評価基準については参加者でその判断基準を共有することが重要となります。
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