BCP策定時についつい見落としてしまう項目、論点について30~重要業務の継続に必要な要素・資源と再調達困難度~
静岡県BCPモデルプラン【様式5】重要業務の継続に必要な要素・資源と再調達困難度では業務の流れ(フロー 工程)で使用される経営資源について確認を行い、その経営資源が事業継続に与える影響と再調達の難しさについて検証を行います。ここで検証を行う『事業継続への影響度合い』についてどのように解釈して使用すればよいかを考察しましょう。今回も『再調達困難度』について考察していきたいと思います。
『再調達困難度』
今回も経営資源の『再調達困難度』について考察したいと思います。
前回、『ヒト』『モノ』『カネ』『情報』『外部資源』となる取引先や関係先、地域社会などについて共通する判断基準を考えてみました。
今回は『モノ』について『事業継続への影響度合い』での結果から『再調達困難度』を考察したいと思います。前回のブログ記事29を参照しながら考察します。
前回のブログのポイントとして『モノ』資源の『重要業務への影響度合い』として下記の点について見落とさないようにしなければなりません。
1.単に建物の修復や代替を行っても、事業を行う上で必要な施設の要件を満たさない限り、品質の確保ができない。
2.インフラの停止に伴い事業を継続することは中小企業にとっては特に難しい
3.建物施設や機械設備は事前の対策が最も重要。他社での代替生産はハードルが高い
これらのことから再調達困難度の評価基準を考察すると以下のポイントが挙げられます。
1.施設(建物・建物設備・屋外設備等)の要件に関する再調達困難度評価基準
①修理や改築、建替えなどを容易に行える施設…事業が行われている状態でも修理等が可能である 等
②十分な空間(使用する空間)が確保できる…修理や建替え等を行っても業務に支障がない
③建物施設の構造…修復作業が容易に行える建物構造である
構造に使用されている資材が容易に手に入りやすい
④建物施設の特異性・特殊性…建物自体がボトルネック資源になる場合
*酒蔵などは建物自体に酒造りに必要な菌類が生息していることから酒造りに建物そのものが大きく
かかわっていることから代替することが難しい
⑤建て替え費用…経営上大きな負担にならず、建て替え費用を確保できる
といったポイントが主に挙げられます。
これらが建物要件を踏まえて再調達困難度を評価する基準となります。
2.インフラに関する再調達困難度評価基準
①電気…施設の地域、ロケーション等による復旧の困難度
②上水道…施設の地域、ロケーション等による復旧の困難度
*地下水を使用している場合、評価自体が難しい
③下水道…使用している下水処理方法により評価が違ってくる
a.施設内に処理施設あり(浄化槽含む)…処理施設の耐久性評価
b.下水道管を通した排水…本管及び施設内配管の復旧にかかる時間、施工工程の困難度
④ガス…都市ガス、LPGにより、評価が違ってくる
a.都市ガスの場合、本管及び施設内配管の復旧にかかる時間、施工工程の困難度
b.LPGの場合、供給会社及び地域のLPG貯蔵基地と施設との距離や対応から判断
⑤通信…施設と通信基地局のエリアの状況から判断
施設内になる通信設備を管理している会社との関係・対応状況から判断
⑥燃料…車両用ガソリンや業務に必要となる燃料(ガスを除く)の確保の困難度
*施設内に燃料貯蔵タンクがある場合は一定期間の確保がしやすい
といったポイントが挙げられます。
3.建物施設、機械設備の事前対策に関する再調達困難度評価基準
*ここでの事前対策には建物施設や機械設備の耐震対策は除く
①代替生産先の確保…他地域の同業者であったり、同じ機械設備を所有している同業者の確保の困難度
②代替生産先の生産能力…代替生産先の品質レベルや生産可能数量等の判断
③保守・メンテナンス業者の確保…保守・メンテナンス業者との距離や対応から判断
④社内でのメンテナンスの可否…社内で建物施設、機械設備をメンテナンスする困難度
⑤部品等の入手性…破損部品等が入手性の困難度
といったポイントが挙げられます。
次回は『カネ』の再調達困難度の評価基準について考察したいと思います。
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