BCP策定時についつい見落としてしまう項目、論点について31~重要業務の継続に必要な要素・資源と再調達困難度~
静岡県BCPモデルプラン【様式5】重要業務の継続に必要な要素・資源と再調達困難度では業務の流れ(フロー 工程)で使用される経営資源について確認を行い、その経営資源が事業継続に与える影響と再調達の難しさについて検証を行います。ここで検証を行う『事業継続への影響度合い』についてどのように解釈して使用すればよいかを考察しましょう。今回も『再調達困難度』について考察していきたいと思います。
『再調達困難度』
今回も経営資源の『再調達困難度』について考察したいと思います。
前回、『ヒト』『モノ』『カネ』『情報』『外部資源』となる取引先や関係先、地域社会などについて共通する判断基準を考えてみました。
今回は『モノ』について『事業継続への影響度合い』での結果から『再調達困難度』を考察したいと思います。前回のブログ記事⑱を参照にしていきます。
前回のブログ⑱では『カネ』資源の『重要業務への影響度合い』として下記の点を考察しました。
『カネ』
重要業務における『カネ』は
①経費(人件費、光熱費、原材料費、メンテナンス費等)…月にどのくらいの経費が発生しているか
②費用(建物建設費用・機械設備等)…事業環境を構築するために投じた費用がどの程度かかっているか
ISO22313に書かれているように財政的実行可能性の低下が起こってしまうのは、事業が中断してしまってどのくらいの期間であるかを確認することで目標復旧時間を再検討することができます。
また費用から建物や生産機械・設備を再購入しなければならない場合にどの程度の出費が発生するかを確認することで財政的実行可能性を検討することができます。
このことから『カネ』の調達としては運転資金と設備費用の両面の調達を検討することとなります。
ただ、災害発生後に破損した『モノ』を廃棄する費用(特損)を含めなければならないといったことや事業停止したことにより購入しなかった原材料費や光熱費(変動費)などは逆に外すことになります。
ここで中小企業庁『中小企業BCP策定指針』の財務診断モデル(上級編)5.1 資産損壊・事業中断の財務面への影響 (1) 資産の損壊とキャッシュフローとの関係から抜粋しますと、
財務診断モデルでは、事業を継続する為には、復旧費用が最も重要な事項であるという観点から、貸借対照表や損益計算書には触れず、専ら復旧費用の算定・調達を検討します。
とあります。復旧費用についての詳しい計算方法等は中小企業庁の『中小企業BCP策定指針』財務診断モデルをご覧ください。この財務診断モデルから導き出された復旧費用等をどのように調達できるかが『再調達困難度』となります。
再調達する復旧費用等は
①自己資金
②株主・経営者個人からの提供
③金融機関からの融資
④国・自治体等からの補助金・助成金
等が挙げられると思います。
これらの活用により、実際に事業を復旧させ操業再開を果たした企業は多く存在します。ただ、残念なことにその後、業績の回復ができず、廃業された企業も数多くあることも確かです。
ここで扱っている復旧費用を上記の①~④で賄えることができたとしても、そもそも事業を再開した後でも業績回復を見込めることができるのかといった点も含めなければなりませんので、『重要業務への影響度合い』からどの事業を優先(残す)し、どの事業をあきらめるのかを選択する重要な指標となります。『再調達困難度』についてはここで触れた内容から金融機関や税理士等に現状の経営状態を含めたアドバイスを受けてください。
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