BCP策定時についつい見落としてしまう項目、論点について32~重要業務の継続に必要な要素・資源と再調達困難度~
静岡県BCPモデルプラン【様式5】重要業務の継続に必要な要素・資源と再調達困難度では業務の流れ(フロー 工程)で使用される経営資源について確認を行い、その経営資源が事業継続に与える影響と再調達の難しさについて検証を行います。ここで検証を行う『事業継続への影響度合い』についてどのように解釈して使用すればよいかを考察しましょう。今回も『再調達困難度』について考察していきたいと思います。
『再調達困難度』
今回も経営資源の『再調達困難度』について考察したいと思います。
前回、『ヒト』『モノ』『カネ』『情報』『外部資源』となる取引先や関係先、地域社会などについて共通する判断基準を考えてみました。
今回は『情報』について『事業継続への影響度合い』での結果から『再調達困難度』を考察したいと思います。
前回のブログ20,21では『情報』資源の『重要業務への影響度合い』として下記の点を考察しました。
『情報』
・事業に関する情報は『ヒト』『モノ』『カネ』外部資源の取引先や関係先、地域社会などに関する情報もある
・有形・無形資産に関する情報(項目)にも分類され、これらが重要業務の業務・作業の過程・工程とどのように関与しているのか、失ってはいけない情報であるのかを確認していく作業になる
取引先情報・製品情報
・見積もりや注文書(受注内容)
・ID/PW 取説・マニュアル 導入・保守
・製品構成情報 部品情報
・在庫情報・調達先情報 担当者 部品のディスコン・代替部品の情報・価格情報・入荷情報
・営業担当者個人の情報(経歴・経験・スキル・個人情報)
・製品・部品等の関わる特許技術、原料の法的規制
・製造工程マニュアル 品質管理
・電気・水道の使用量
会社の情報資産として図面や構成部品・製造マニュアルなどは災害後の事業継続を進めるうえでも重要な情報
とまとめました。
これら情報の『再調達困難度』について考察しましょう。
ほとんどの企業がこれらの情報をPCまたはサーバー、クラウドサーバー等で保管・管理していると思います。ハード内にのみ保管している場合、そのハードの破損状況で復旧することが困難となるケースが多く、バックアップ方法が検討されます。そのバックアップを遠隔地にある自社サーバーにするのか、フラッシュメモリーなどの持運びしやすい記憶媒体に収容しておくのか、クラウドサーバーに毎日自動でバックアップするのかによってもその情報の再調達困難度は大きく変わります。
ということから自社の情報をどのように管理しているかによって『情報』自体の再調達困難度は決定的に大きく変わります。現在の技術で言えば、クラウドサーバーに重要情報を保管しておくことが最もリスクが少なく、また復旧も速いと思われますが、ここで社内にそのシステム復旧に関わる作業を行える担当者がいることも重要です。この担当者の存在についても再調達困難度を計るうえで重要なポイントとなります。外部事業者に頼っている場合は、いざというときに対応に時間がかかることも含め、再調達困難度を検討する必要があります。
次に情報を逸失した場合でもその情報を今後も再現できるかどうかもポイントになります。業務や作業については社内で独自のルールで運用していますが、そういった情報は『ヒト』や『組織』に根付いた情報と言えます。また業務や作業を行っていく中でその情報自体も更新されていくのであれば、改めて作成することも可能な情報と言えます。
ただし、今後も再現できない情報の場合、平時に業務上で使用しているか否か、また平時では使用していないが、災害発生後には必要となる可能性のある情報であるかでも判断しなければなりません。(設計事務所や製造業ではすでに施工、生産が終了していても、災害後に修理・メンテナンスが発生したときに必要となる情報になり得る)こういった情報をどのように扱うかによっても情報の再調達困難度は大きく変わることとなります。
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